お話:京町家情報センター 松井薫さん
1716(享保元)年に生まれ、1800(寛政 12)年数え 85 歳でこの世を去った伊藤若冲は、平均寿命が 50 代とされる当時としては長生きでした。1755 年 40 歳で家督を弟に譲ると隠居し、絵を描く生活に入ります。当時、京町家の商家では家族の者が隠居すると「離れ」で暮らすのが一般的でした。実は、若冲の絵画作品には、隠居後の「離れ」で暮らす中で彼が目にした風景がたくさん描かれています。
そこで今回は、江戸時代の京町家ひいては京の町に思いをはせ、若冲作品を「住まい」から紐解くことにします。