本プロジェクトでは、2013年度を通して「若冲が生きた京都とその時代」をテーマに、全8回のワークショップ、シンポジウム、そしてロンドンで展示会を開催します。伊藤若冲に関すること、京都に関すること、そして江戸時代に関することをこれまでになかった切り口でお届け致しますので、この機会に是非ご参加下さい。
また、それぞれの催しにおいては席数に限りがございますので、事前予約制とさせて頂いております。下記のスケジュールをご参照の上、参加をご希望される場合は、各公演に付しております「ご予約フォーム」からご予約を賜りますようお願い致します。
「若冲が生きた江戸時代中期の京都の家屋」をテーマとする第1回若冲ワークショップでは、京町家情報センター事務局長 松井薫氏を講師に迎え、若冲が暮らした京都の家屋の歴史や文化を読み解きます。会場は京都を代表する町家の一つである長江家住宅。実際の町家のなかで若冲が目にした風景・美の世界に迫ります。
「若冲と錦市場」をテーマとする第2回若冲ワークショップでは、京都錦市場商店街振興組合理事長 宇津克美氏を講師に迎え、若冲が生きた錦市場の歴史や文化を読み解きます。錦市場の有力な青物問屋に生まれた若冲。若冲が愛し、緻密な動植物を描き出すルーツとなった「京の台所」錦市場に迫ります。
「若冲の時代から伝わる京都の木版画」をテーマとする第3回若冲ワークショップでは、現在日本で唯一の手摺木版和装本の出版社である美術書出版株式会社芸艸堂代表取締役 山田博隆氏を講師に迎え、木版技術の進歩、歴史を読み解きます。若冲が描く繊細な線、草花の大胆な構図を新たな表現で魅せる木版画の世界に迫ります。
各研究者それぞれの知見に基づく研究成果の発表、議論を行い、若冲作品の背景を読み解きながら地域文化との係わり合いを明らかにします。また、本シンポジウムに併せ、若冲作品を原寸大で再現した高精細複製画の展示を行います。
「若冲の時代から伝わる京都の染織」をテーマとする第4回若冲ワークショップでは、18世紀京都画壇を中心とする江戸時代絵画史の研究者である尾道市立大学日本美術史講師 市川彰氏を講師に迎え、日本人の装いを演出する染織文化の歴史を読み解き、長い歴史の中で芸術の域まで押し上げた伝統の染織技術と若冲作品との係わり合いに迫ります。
「動植綵絵修理からみる若冲の時代の表具」をテーマとする第5回若冲ワークショップでは、明治27年に創業以来、主に絵画・書籍分野における国宝や重要文化財の保存修理を行う株式会社岡墨光堂代表取締役 岡泰央氏を講師に迎え、表具師によって引き継がれた高い美意識と伝統の中で培われた修理技術の世界に迫ります。
「若冲が使用した筆からみる江戸中期の画材」をテーマとする第6回若冲ワークショップでは、毛筆の歴史とその書画表現への影響を専門とする大阪国際大学講師 村田隆志氏を講師に迎え、製筆技術の変遷、画風と筆との関係を読み解き、道具によって生み出された若冲作品の新たな魅力に迫ります。
「同時代の画家」をテーマとする第7回若冲ワークショップでは、著書『奇想の系譜』において、日本美術の系譜を新たな切り口で鮮やかに読み直して見せた辻惟雄氏が館長を務めるMIHO MUSEUMから、学芸員 岡田秀之氏を講師に迎え、円山応挙、曽我蕭白など、若冲と同時代の個性と才気溢れる絵師との係わり合い、そして江戸絵画の魅力に迫ります。
「宗教」をテーマとする第8回若冲ワークショップでは、若冲が晩年制作三昧の日々を過ごした京都深草の石峰寺を会場とし、五百羅漢を代表とする石峰寺所有の若冲作品と共に若冲と宗教との係わり合いに迫ります。講師に石峰寺住職 阪田良介氏を迎え、広間での若冲作品公開・解説、四百体以上残っている五百羅漢の拝観を通して石峰寺における若冲を読み解きます。