文化庁 平成25年度
地域と共働した美術館 · 歴史博物館創造活動支援事業
京都文化芸術振興プラン実行委員会
2016年に生誕300年の節目を迎える伊藤若冲。独創的な世界観を持つ作品をいまに残し、「奇想の画家」とも呼ばれています。それまでの日本の絵画にない奇抜なモチーフ、独特な画面構成により、江戸美術を代表する画家の一人として、幅広い世代から高い支持を集めています。
伊藤若冲(1716~1800)は、京都錦小路の青物問屋の長男に生まれました。数え年二十三歳の時、父の死去に伴い、家督を相続し四代目桝屋源左衛門となります。絵画制作に没頭、四十歳を機に家督を弟に譲り、画家として後半生を送ります。その個性的な画風は江戸中期の京都で異彩を放ち、大きな評判を呼びました。天明八(1788)年、京都大火で被災し、一時大坂に滞在したようですが、晩年は深草の黄檗寺院、石峰寺の門前に隠棲し、制作三昧の日々を過ごしました。
代表作に「動植綵絵」(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、鹿苑寺大書院障壁画、大阪・西福寺襖絵などがあります。また「枡目描き」を試みた諸作品も話題を呼んでいます。身近な花や鳥をテーマに発揮された若冲のユニークな画才は、細密な花鳥画だけにとどまらず、墨を駆使した飄逸な水墨表現にも遺憾なく表されています。
当サイトでは各専門分野から講師をお招きし、その分野から若冲を読み解くワークショップやシンポジウムのご案内をいたします。国内屈指の若冲コレクションを誇る細見美術館の作品を、超高精細デジタルカメラにより撮影、映像化して、作品の魅力を優れた画像により順次公開していきます。
本事業は、美術館・歴史博物館を地域の文化の拠点として活性化するとともに、地域との共働の下、美術館・歴史博物館が有する多面的な可能性を生かした事業の展開を支援することを目的とした、文化庁の「平成25年度 地域と共働した美術館・歴史博物館創造活動支援事業」 において採択された補助事業です。
2016年に生誕 300年の節目を迎える伊藤若冲。独創的な世界観を持つ作品をいまに残し、「奇想の画家」とも呼ばれる伊藤若冲は、日本を代表する画家の一人であり、幅広い世代から高い支持を集めています。
その作品には若冲が誕生し生涯の殆どを過ごした京都の伝統に密接に関係するものが多く含まれており、その伝統の多くはいまも京都に伝えられていますが、大胆な描写の陰に隠れてか、その事実を愛好者が知ることは少なく、若冲人気に比しては、地元地域への効果は少ない状況です。
そこで若冲作品の背景を読み解きながら、地域文化との係わり合いを明らかにし、情報をコンテンツ化・発信することで、美術館を拠点とした地域振興・文化発信という、新たな美術館の姿を創造したいと考えています。
また、日本文化に高い関心を持ちながらもいままで機会がないために認知が進んでいない海外においても日本文化を普及させるために、本年 2013 年に日英交流400年の記念すべき年であるイギリスで、現地の団体の協力を得て特別に交流の機会を設け、伊藤若冲・日本文化を世界に発信します。