雪中雄鶏図

第二回「錦市場」

日時
09/21 14:00-15:00
講師
宇津克美
会場
錦市場商店街振興組合

REPORT

良質な地下水が育んだ食文化

京都の文化は水の文化です。江戸時代にできた「三店魚問屋」は、良質な井戸水のある場所にできたのではないかと言われています。井戸水は軟水で年中一定の15~16度の水温を保っています。つまり冬は暖かく、夏は冷たいので商売に利用するには水道水よりもはるかに使いやすく利便性があります。

かつて錦市場では、京都中の魚を扱っていましたが、魚の鮮度を保つために水洗いする際、井戸水をふんだんに使えたことは、商売にとって非常に有利でした。

また、水のくせを知れば、お客さんに同じ味を提供できるというメリットもあります。

生麩がその典型例です。生麩はグルテンを水で流しながら練っていきます。錦市場では創業180年の老舗の生麩店「麩房」が現在も営業しています。同じく生麩店「麩嘉」は創業200年で本店は「上の店」にありますが、そのそばには「滋野井」いう井戸があります。

このように京の食文化と井戸は深いつながりがあるのです。

錦市場の現在

昭和42年錦市場の近所に大型スーパーが進出してきた時、錦の人々は知恵を絞りこれに対抗しました。錦市場の中心である富小路から柳の馬場まで通りぬけができると人の流れが二分されるのではと憂い、それを阻止するために土地の買収にあたり360坪の敷地を確保しました。現在では、別会社を立ち上げ駐車場を管理してタウンマネジメントを行うなどポテンシャルを上げ、錦ブランドを守る活動を行っています。

若冲ら先人が錦市場を守ってくれたという思いが錦の人にはあります。その功労を称え2013年、錦小路高倉角に錦市場商店街振興組合50周年記念「若冲生家跡」のモニュメントを建てました。

豊かな食文化が京文化の一つなら、錦はその文化の一端を担っています。先人から受け継いだ豊かな文化を次世代に受け継いでいきたいと考えております。

パンフレット:錦の商いは圧倒的に生鮮食品が多い。
390メートルの市場の中に、125軒の店がある。
生鮮食料品(35軒)、加工食品(58軒)、日用品(7軒)食料(15軒)

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