堂々たる雄姿
鶏の逞しい姿がシャープな筆遣いで颯爽と描かれ、見る人を強く惹きつける。もとは押絵貼屏風の一図であったと考えられる。
落款には「米斗翁八十一歳画」とある。天明八年(一七八八)の京都大火で焼け出された若冲は、深草石峯寺門前に隠居し、絵一枚を米一斗(銀六匁)として収入を得たことから「米斗翁」の名を用いている。「米斗翁」時代は多作で工房作も含まれるとされるが、中に若冲自身の優れた水墨表現が見出されることを見逃してはならない。