歌えや踊れ、今宵ばかりは
宵闇に灯された提灯の下、扇をもった男性が歌い、その周りを数人の男女が踊っている。いわゆる盆踊りの光景であろう。画面全体に薄墨を刷き、夜の情景を表している。
箱書きには「踏歌図」とあるが、踏歌とは本来、中国の隋唐時代の民間行事で、足を踏みならして歌い舞う踊りのこと。このような若冲の当世風俗図は珍しい。