水に遊び藻にたゆたう
淡いトーンを基調とした墨と巧みな筆遣いによって活きのいい海老の触角や殻などを描き出している。殻や藻には、墨のあいだに筋状の線を残す筋目描の技法が用いられている。
賛は無染淨善(嵯峨、直指庵住持の黄檗僧)で、その年紀(辛巳)より宝暦十一年(一七六一)以前、若冲四十代半ばの作と知られる。