温もりと慈しみのほほえみ
泥絵具や胡粉で彩色された素朴な味わいをもつ伏見人形は、伏見稲荷の土産物として知られ、若冲が長年好んで取り上げた画題です。布袋の肌には紅雲母(べにきら)が用いられ、人形の質感も伝わってきます。顔面には細い線で目と眉が描かれ、無心に笑う布袋の姿をあらわしています。明るく温かい童画的な雰囲気が漂い、見る者の心を和ませます。