虫草のリアルファンタジー
極端に長細い糸瓜に自由奔放に群がる様々な虫たちを描いた作品。
大きな虫喰いの跡、S字状に垂れ下がった蔓や、その先端の渦巻きなど、細部を丁寧に描き出しているところに、若冲の自然への驚異や愛着が感じられます。
糸瓜と虫たちが同化してみえますが、よく見ると合計で十一匹の生き物が描き込まれています。
博物学に親しみ、自らも虫の写生帖を描いたほどの愛好家、増山雪斎の愛蔵品であったことも興味深い作品です。